言葉のつながり2

中学校で英語を教えています。英語を磨くことは、日本を磨くこと、そして「ことば」を磨くこと。日々の思いでつながれますように。

第6回山口県英語教育フォーラムに参加して

これもまだ時間に余裕がある今のうちに、そして自分の中にまだ余韻が残っているうちに、自分のための振り返りとしてここに記録しておこうと思います。

 

今年でもう6回目となる「山口県英語教育フォーラム」、11月16日に行ってきました。

去年も是非参加したかったんですが、どうしても後期中間テスト作成業務と重なり涙をのんだのでした・・・。

なので、今年は、全国各地から志と智と思いを持って集まって来る英語教育仲間の先生たちとお会いしたく、万障繰り合わせて臨みました。

 

それでも、前夜入り出来なかった私は、当日どうしても45分遅れで会場着。。

最初の講演である高橋愛先生の「読む楽しさを求めて~」という多読実践に関するお話は前半聞き逃してしまいました(残念!)

それでも、まさに多読実践奮戦記ともいうべき、これまでの愛先生のヒストリーや、いろいろな授業報告はとても興味深く、多読の世界を十分感じさせてくれるものでした。

私だけでなく、多くの先生方が、「多読」っていうものに興味はあるけれど、何をどうしていいか分からない・・・という感じだと思うんです。そういうハードルの高さを愛先生は十分ご存知の上で、分かりやすくとっつきやすくお話してくれました。

まずは本の冊数を揃える問題、その本のレベル分け、授業の中でどう扱い、生徒たちにどう読ませていくか(生徒たちに受けの良い本など)、そこから評価(授業記録の作り方やテスト)は?といった具体的な実践まで、とても参考になりました。

もちろん私達公立学校の教員であれば数年ごとに移動してしまうっていう問題は厳然としてあります(ここが苦しい)。でも、私の児童英語の知り合いの中でも多読を中心に実践している人もいるし、比較的移動の少ない私立学校などでは扱いやすいのではないでしょうか。

文学少女だった私個人としては、文学研究者でもある愛先生に、個人的にとても親しみを感じてもいました。

 

午後からは、とても楽しみにしていた山岡大基先生の「ライテイングの「王道」を求めて~」の講演。

まずは、配られた資料の山に驚き!(ああ、あれだけ忙しい中、これだけの資料を準備するだけでもどれだけ大変だったか・・・←山岡先生も寝てないって言ってました!(感謝))

そしてスタートは、山岡先生ご自身の英語ライテイング学習&英語ライテイング教育ヒストリーから。これも、山岡先生らしい地道で真面目な、そして緻密な分析力に基づいた数々の実践でした。

寺島先生の記号づけやGTEC、英借文の指導原理、和文和訳の意味処理と構造処理などなど、山岡先生がその時々でいかに生徒たちと向き合って指導してきたかひしひしと伝わってきました。(Xバー理論の話になった時は、山岡先生がすごく嬉しそうでした!(笑)←私はすごく苦手だったけど(苦笑))

文(センテンス)の指導、句(フレーズ)の指導から、いよいよ話はパラグラフ・ライテイングの話へ。ここでは、小学校国語教育の指導例も参考にしながら(これは私も激しく同意!)、その丁寧なスモールステップの踏み方を挙げていました。

他にも、具体的な実践例として「スロー再生的描写」(先生がする動作をよく見て、出来るだけ詳しく描写するもの)などは、とても面白く、これは私も中学校の現場でも何とかやれないかなあ・・・とあれこれ思いを巡らせてみたり。

そういった話の中で次に山岡先生のパラグラフ指導の悩みとして「なんとなく体裁だけは整っている(っぽい)パラグラフが書けるようにはなったけれど・・・」が出てきました。

ここから「論理性:トゥールミンモデル」の問題へ。

この「論理的思考力」というべき問題は、かなり根深いです。私は、これはやはり「母語(日本語力)」と切っても切れないのではないか、と思います(ここが、大津先生の言われる「ことばへの気付き」「ことばの力」とも重なっていくのですが)

英語を学ぶことは日本語を学ぶこと。

これだけの力を持った山岡先生の、レベルの高い所で悩んでる姿を間近に感じながら、私もいかに田舎の草の根教師であろうと、「ことばの教師」であることには変わりないのだから、ああ、もっと研鑽を積まなくては・・・と心をぐっと掴まれておりました。

(そして、最後に私の所に来て「なんか上手くまとめきれなかったなあ・・(苦笑)」って山岡先生がぽそっと言われたのに、もう最後にとどめの感動!でした。やっぱり英語教育界の真面目なプリンスです。久しぶりにお会いできて、本当に嬉しかったです。)

 

最後は植野伸子先生の講演「意味を伝える音声指導」。

これもまた、もう素晴らしいの一言に尽きるお話でした。

「意味が立ち上るような音読を」

確かに英語の発音の美しさも素晴らしいのですが、そこに至るまでの植野先生のヒストリーがまた秀逸でした(ニルスは私も当時不思議だった!(笑))。しっかりと丁寧に英語(音声)に向き合い、努力を重ね、常に興味を持って英語と付き合い続けている・・・(これは、筑波付属の血でもあるのでしょうか。)

お話も優しいトーンだけれど面白くって、惹きこまれました。

「実態を見抜く目」

「指導する手段」

「教師がまず手本となるように(意味を伝えられる豊かな音声で)話すこと」

「良い環境作り」

筑波付属中での生徒たちの様子や実践話は、同じ中学校現場に立つ者として大いに刺激を受けましたし、私も頑張らないとなあ・・・と痛感もしていました(いろいろな意味で(汗))

 

その後の懇親会では、案の定、一昨年に講師をされた某K田先生による楽しい(これもいろいろな意味でwww)お話が炸裂していましたが(笑)、でも、他にも初めましての先生方や、お久しぶりです☆の先生方などなど、今年もまた至福の贅沢な時間を過ごさせて頂きました。(全国各地から集まった日本酒の銘酒もすごかった☆一升瓶を両手に抱えて夜の温泉街を闊歩していた山岡先生も素敵でした(笑))

まる先生&Y先生とは、お互いの困難校での実践のお話も出来ました。

まる先生「大変な学校の人こそ、こういうトップレベルの実践が集う研究会に来るべきだ。自分の生徒には、学校には関係ない、なんて言わずに。必ず授業を向上させるヒントがある」

K田先生「今回、山口に来て思ったこと。私の授業なんてまだまだ、です。もっと高みを目指したい。ホントにそう思える勉強会でした」

私もまさにそう思っています。困難校だからこそ、生徒をしっかりと惹きつけるだけの授業をしなければならないんです。「ことばの学び」としての授業が面白ければ、きっと生徒は振り向く。(この間も、「良い授業を作るのは私たち教師の責任。私たち教師はしっかりと授業を頑張るから、だから、あなた達もしっかり付いてらっしゃい!」ってタンカ切ったばっかり・・・(汗))

今回も、頑張って参加して本当に良かったです。

充実した「ことばの学び」そして「ことばの教育」がありました。

あの時間・空間を共に共有してくれた全ての方々に感謝します。

私も頑張らなきゃ。