言葉のつながり2

中学校で英語を教えています。英語を磨くことは、日本を磨くこと、そして「ことば」を磨くこと。日々の思いでつながれますように。

「清須会議」

さっき、清須会議から帰ってきました。

前回見た「素敵な金縛り」は、あり得ないけど何か人として親しみの持てるおかしさ、っていうのが面白かったのに対して、
今回の「清須会議」は、さすがに戦国時代の過酷な下剋上時代の策某を描いた作品、面白いんだけど独特のアイロニーというか、ブラックユーモアがふんだんにありました。(そこは三谷作品、面白かったんですが)そして、やっぱりお市の方の戦国時代に翻弄されてしまった女性の悲しさもありましたねえ・・。
そういう時代を描いていたから仕方ないのかもしれないけれど、いかに力のある者について出世するか、その名誉欲・出世欲みたいなもの(人としてのずるさ)が満載でした。←まあ、それがブラックユーモアにもなるんですが。
何か、こういうのって英語教育の世界でもあるような・・(つい直近で見てるような・・・)

私の場合、田舎のどんな小さな現場でも、たとえ生徒が一人でも自分なりに一生懸命教えられれば、いかに苦しくても楽しい、教師としての醍醐味を十分感じられるんですが(そしてそういう名もない先生が実は学校現場にはたくさんみえるんですが)、そうじゃない名誉欲を持った人がいるのも事実で・・・

そんなことを思いながら帰ってきました。

中学校で押さえておきたいこと

寒いけれど、よく晴れた土曜日の今日、神戸(西宮?ww)に集っている先生たちも多く・・・(エールを送っています!)

そんな中、今日うちに届いた『英語教育 1月号』に載っていた加藤京子先生の記事「生徒のための中高連携を」に引きつけられました。
「中学校で指導を始めるべきであり、中学生にも必要であり、生徒にとっては円滑な中高連携のために必要な学習」
として挙げられた「5つ」は、まさに私も中学校現場でその必要性をひしひしと感じ、地道に四苦八苦しながら取り入れている内容でもありました。(特に「品詞」(の概念)は中1でもしっかり押さえます。京子先生曰く「品詞の意識のない高校生は高校英文法を攻略する武器を持たないに等しい」)

昨日、文科相による新たな英語教育施策が発表され、小学校中学年から英語授業を、中学校でも英語で授業を、とやみくもなコミュニカティブ路線に舵を切りそうな今この時にあってこそ、京子先生のようなしっかりと地に足のついた実践をしたいなあと、思わず山口でお会いした時が懐かしく思い出されてきました。
どこかでまたお話させて頂けたらなあ・・・と思います。

大津先生×吉田研作先生の対談に参加してきました

時間に余裕がある今のうちに、この間の大津先生×吉田研作先生の対談も少しだけ振り返っておこうと思います。
自分のための振り返りとして、あの時の自分のつぶやきをもう一度眺めながら。。。(こういう時、つぶやきは便利ですねえ。でも、twilogのまとめ方とか分からないので・・・(汗))

・座談会始まりました!
・吉田先生の紹介
・大津先生の紹介
(ここで、大津先生の突っ込みが!(笑))
・英語教育7つの誤解ならぬ限界
・「学校英語教育」の対策の必要性
小学校英語は害あり...
・最重要課題は中学校である
・ことばは使うレベルまでいかなくても、学ぶことはたくさんあるのではないか
(コミュニカティブに、への流れと言語学的見地から。要はバランスが大事かなあとも思うんですが、そこがまた現場では本当に難しく・・・)
・英語を使うことと英語学習のつながり
・母語の運用能力が先?
・英語が出来る、出来かかってる生徒たちではない、もっと初歩の子たちがいるのでは?
・全くレディネスのない子たちの現状が分かってもらえるだろうか
・遠いセルハイ
(一部のエリート教育のために日本の学校英語教育があるのでしょうか??)
・中1秋の壁のままの子たちは?
・can doリストの功罪
(大津先生はcan think とかcan understandとか目に見えないものもあるのではないか、と問いかけてみえました)
・大津先生「だんだん興奮してきた(笑)」
・ちゃんと活動が出来ていれば、文法説明は日本語でも
・ちゃんと思考訓練をしないとディベートは難しいのではないか
・大津先生と吉田先生の役割の違い
・大津先生「ヨシケン先生は人が良すぎる(笑)」
・英語が出来る、モチベーションの高い子たち以外の子たちをどう救うのか
・どうして英語を学ぶのか?の答えは?

・後半は小学校英語の教科化から
・専科の先生が入るから良いっていう「見せかけ」
(これも本当に。学校現場はただ英語だけを教えているんじゃない、生徒にとってはまさに「生活の場」、密接な生徒指導のもとに行われているんです。特に小学校は。それから入門期指導の難しさも。中学校指導とはやっぱり違います。)
・子供たちにとっての害悪
・その予算と時間を中学校へ
・実際小学校で体制が整うのか
(ここで、大津先生がヨシケン先生にJ-SHINEに関しても「いつJ-SHINEはつぶれるの??(笑)」って投げかけてみえました!J-SHINEでは、今民間にも特別な専科免許を!って盛り上がっていますが、玉石混合のJ-SHINEにあって・・と私は恐ろしさを感じます。もちろん力量ある友人も民間にはいますが、ただお金目的だったり、自分のステータス狙いだったりする人も少なからず小学校英語を狙っている実態を私は知っているだけに。。↓4つは私の思いのつぶやきです)
・民間が学校現場に入ったら、崩壊に向かうかも
・教員免許の壁を崩してしまったら・・・
・どうして英語だけはそういうことが許されるのか
・教科を無免許の人が教えるの?
・筋の引き方は?
・大学入試制度について
・テスティングの専門家が少ない
TOEFLあて馬で、本当はTEAPで落とすのでは?
(ここでも、やっぱり大津先生がヨシケン先生に迫ってみえました(笑)TOEFLあて馬とは!!←なるほどねえ・・・www)
・大学入試改革は何のため?

ざっと殴り書きのようにあの日のつぶやき&感想を載せてみました。(乱文ご容赦ください<(_ _)>)

師走が始まりました。

帰宅。今日も全詰まり授業でバタバタでした。
この時期の中3はやっと実感してきた進路選択への不安とか「よく分からなさ」をあれこれと話してきます。
「先生~、俺工業受かるかなあ・・・」
「親がここ行けって言ってくるんだけどさあ・・・」
少しずつ15の春が近付いているなあ・・とこちらも実感。
明日は卒業アルバム写真撮りです。(みんな、いい顔しようね)

中1英語授業は・・・相変わらず苦戦が続いておりますが、
授業規律の無さも苦しいのですが、英語科的には、とにかく中1として英語を学ぶ上での大事な基本・土台がここまでに為されていないのが何より残念で、どこから手をつけようか・・・といった所。
...
それでも、もうL7・助動詞canの単元まできてしまっているので、
今日も導入したのは
"This is my first time in the wheelchair."(車いすに乗るのはこれが初めてよ)
の一文での前置詞inの使い方。
これはやっぱりonではなくてinなのですよね。この「英語の感覚・状況描写」といったものが掴めるかどうか。。
そして、逆にこの日本語から英語に直す英作文の方が数段難しいよっていうのにもみんな頷いておりました。
あと、他にも、
"These chairs have special wheels."(この手のイスには特別なタイヤが付いているんだよ)
における'have'の意味用法も。
中1はとかく一語に対して一訳で合わせようとしてしまうので、これもまた「英語の持つ意味や使い方」をちょっとずつ感じて欲しいなあと思います。
それから、土台へのアプローチシリーズとして、今日は「中1で習う3つのS」に関しても再確認。
案の定なかなかおぼつかない現任校の生徒たちですが、これも少しでも・・・で頑張っております。

師走が始まりました。

これまでの記事の保管場所

アルクブログで6年近く綴ってきた日々の授業記録や、その時々の思いが無くなってしまうのはさすがにつらいなあ、って思って、その分の記事はFC2ブログに移してあります。

(このはてなブログにインポート出来なかったのが残念!)

一応こちらにもリンクを貼っておきますね。

http://nonbenori.blog.fc2.com/

今自分で読み返してみても十分恥ずかしいんですが(汗)、

でも、児童英語、小学校英語、日本語教授、と、その時その時、自分なりに自分に出来ることを本当に試行錯誤しながらやってきた記録なので・・・

一応自分のためのメモとしても残しておきたいと思います。

 

『英語教育ブログ』みんなで書けば怖くない!企画第5回 「なんで英語勉強するの?」

「『英語教育ブログ』みんなで書けば怖くない!企画に参加しています」

http://d.hatena.ne.jp/anfieldroad/20131101/p1

anf先生がこの企画を始められてから、もう5回目になるんですねえ。

ずっとアルクブログで書いてきましたが、今回は初めてこのはてなブログでの企画参加となります。毎回興味深いテーマをみんなで共有しては同時期に更新&発信をするこの企画、今回のテーマは、

 「生徒に、『なんで英語なんか勉強しなくちゃいけないんですか?』と訊かれたら、何と答えますか」

これも、現場英語教師としてはなかなかに実践的でなおかつ深いテーマです。

そして、実際に現場では私も生徒達のこの質問に何度も遭遇しております。かって日本語教師&児童英語講師をしていた私が、初めて中学校の現場に立って最初に当時の中3生から訊かれたのも、まさにこれ

「なんで英語なんか勉強しないかんのや~~!」

「英語なんか、俺将来使わへんし!」

でした。(今思えば、初めて来た英語の先生が何ていうか、きっと生徒たちは試してみたんだろうなあ、とも思います)

以来、ずっと私の「答え」(というか、英語教師としての思い)は一貫しています。

「あなた達が将来英語を使うようになるかどうか、それは分からない。それは、あなた達自身にももちろんまだ分からないし、先生にも分からない。あなた達の親御さんたちにも分からない。誰にも分からない。

でもね、あなた達には一人一人「未来」がある。将来、英語を使うことになるかもしれない。その可能性は、昔日本語教師をしていろんな外国の人と様々な接し方をしてた私からすると、決して低くはないんだよね。「英語を使う」っていうことは、ただ外国人と話をするっていうことだけじゃないんだよ。英語で書かれたものを読んだり書いたり、メールでだってやり取りすることがあるかもしれない。それはもう、いろんな可能性があるの。

だから、今は英語も勉強して。「将来の可能性」のために。中学校で習う英語って本当に大事な英語の基礎、土台になるの。「あ~、あの時もっと勉強しとけば良かったなあ」って後から思わなくてもいいように。

英語って時には根性出して壁を乗り切らないといけないこともあるけど、一緒に頑張ろう。先生もみんなと一緒に、一生懸命授業するから、頑張ってついてきて。

将来の自分の可能性をつかみとるために。」

これは、4月の授業開きの時にも必ず話しをするし、折に触れて授業中にも何度も伝えます。

もちろん、中学生の子たちの心に全て腑に落ちることはないのだろうけれど、でも、あきらめずに何度も伝えます。それが、私たち現場英語教師の役目だと思うから。

児童英語出身の私は、授業中、結構活動系で盛り上がるのも好きなタイプですが、がっつり文法系の授業もやります。そういう時に、本当に頑張ってついきて欲しいから。

 

そして、もうひとつ、大切に生徒達に伝えるのは、

「英語を学ぶことは日本語を学ぶ(学び直す)ことなんだよ」

っていうこと。これもいつも折に触れ伝えています。

英語と日本語は言語距離が遠いと言われていうように、語順(文法)、発音、文字表記、用法、様々な点で違いがあります。日本人初学者である中学生達にとっては、???ってなってしまうことも本当に多いです。

だからこそ、「英語と日本語はどう違うのか」っていう視点も常に合わせながら、ストンと飲みこめるようにしていかなければならないなあと、常に思っています。

そして、それには、じゃあ自分たちがいつも使っている日本語ってどんな「ことば」なんだろう、どんな意味用法があるんだろうっていう、「日本語をきちんと捉えなおす」視点がとても大事になってきます。(私が尊敬する先生たちは、「日本語を外国語として捉えなおす視点」といわれていますが)。そこから、何とか英語学習へとつなげられるように・・・そこは、私たち教師が努力していかなければならないですね。初学者の生徒たちがどこでどう躓いているのか、どう手助けをしていけばいいのか、本当に常に試行錯誤です。

 

人は母語を使って思考します。そして、その頭(や心)に浮かんだ思いや考えを人に伝えようとします。その伝える手段が英語でも日本語でも、まずは自分の「ことば」を持たないといけません。

「英語を磨くことは日本語を磨くこと」

これも、何とか中学生の子たちに伝えたいですねえ。英語教師としても、日本語教師としても。

 

久しぶりのブログ記事、何だかまたつらつらと書いてしまいましたが、様々な教育施策がどんどん発表されている昨今、こうやって英語教育の現場に携わっている側から発信していくことも本当に大切だと思います。(そして、それこそがanf先生の思いなのだと思います)

英語教育ブロガーの仲間の先生たちの「志」と「智」と「思い」がまた集まりますように。

ありがとうございました。

 

 

 

アルクブログから引っ越してきました

こんにちは(はじめまして、かな)

のんべえです。

ずっとアルクブログで日々の中学校英語授業実践を細々と綴ってきましたが、このたびそのアルクブログが閉鎖をしてしまうということで、こちらに引っ越してきました。

あまり頻繁に更新は出来ないかと思いますが、どうぞこちらでもよろしくお願い致します。

 

まず、最初の記事は、この間FBの方で下書きがてら書きつづった中1英語授業の一端を。

名詞の複数形の導入です。

 

英語科授業は、名詞の複数形の導入が佳境に。
2年目相方君がこの間やった授業は、中1の子たちにいきなり
語尾にsをつけるバージョン、esをつけるバージョンのみならず、不規則変化tooth→teethや、単副同形sheep,なんかもいっぺんに導入・・・orz。初めて単数・複数に触れた中1の子たちはもうポカーンとして????&どよよ~ん状況に・・・・・・
(しかも、黒板一杯に書かれた単語で既習単語は3つだけ(汗))
後から、彼も自分でかなり落ち込んでおりました。
うん、そうなのよ、中1を教えるのって、実は本当に難しいのよ。
既習の語彙も文型も本当に少なくて、その中で勝負しなくちゃいけない。
導入する順番や「提示」する順番などの授業技術なんかも大切で。
(だからこそ、現場教師の腕の見せ所、でもあるのだけれど)
 
私がそのあと別のクラスでやった導入は。。
小学校英語時代から遣ってる果物や野菜、動物カードをたくさん使って、
onion, potato, peach, candyなどを黒板に貼ってまずは単数形の確認から。そ...こから、最初に「綴り」パターンの導入へ。
中1は語尾にsがつくパターン、esがつくパターン、yをiに変えてesの、この3つのパターンに留めます。唯一不規則で、中1で習うman→menは例外として確認。
私「manの複数形ってどうなると思う???」
S「mans~!」
S「あ、メンズだ~!」
私「これさあ、実はみんなよく使っとるんだって~!「イケメン」って言うでしょ?あれってどういう意味??」
S「あ~~!」
私「いけてメン、かっこいい男の人たち、でしょ?かっこいい男の人は世の中にいっぱいいるから、あれ、「イケマン」にはならないんだよね~」
S「爆笑」

それから、次にそのまま同じカードの下に今度は「発音」の確認を導入。「ズ」のパターン、「ス」のパターン、「イズ」のパターン、「ツ」のパターン・・・
私「これ、発音のパターンもいっぱいあって、はあ~、めんどくさ~って思ってるでしょ~?」
S「うん!!」(ため息)
私「でもね、あなたたち、日本語だったら普通にちゃんと音変化使ってるんだよ~。ひゃくえん、にひゃくえん、さん・・???」
S「あ、さんびゃくえん!」
って、いつもの日本語の音韻変化のパターンと結び付けて。
それから
私「外国の人が日本語の数え方やったら、一人だったり、一本だったり、一杯だったり、三匹だったり・・・もう、その複雑さにため息なんだよね~。なんでそんなに多いの??って聞かれちゃう。でも、英語はboysでもdogsでも一緒なんだよね」
って、あれこれと日英の比較対照も。

その後は、またカードを使って発音練習も。
そして、「仲間はずれはどれ?」クイズも。
keys, CD players, comic books, bicyclesでは?
などなど、発音系と綴り系、それぞれにいくつか出題。
最後は書く練習をしたり、ちょっと活動系をいれてみたり。

とにかく、初めて「単数・複数」っていう「概念」を導入する中1達、いかに多すぎず、バランス良く導入するか・・・その手綱加減がなかなかに難しいところです。(それは、私も本当に)
だからこそ、絵カードなど様々な視覚教材も有効に使って。
「中1は難しい・・・」って落ち込んでる2年目相方君、一緒にまたがんばろうね。